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昨日、佐渡市主催の特定地域づくり事業協同組合セミナー@トキ交流会館に参加させていただきました◎

2022年11月27日 / Hiroshi Murooka / お知らせ, ブログ

昨日、佐渡市主催の特定地域づくり事業協同組合セミナー@トキ交流会館に参加させていただきました◎

特定地域づくり事業協同組合制度とは・・・
地域人口の急減に直面している地域において、農林水産業、商工業等の地域産業の担い手を確保するための特定地域づくり事業※を行う事業協同組合に対して財政的、制度的な支援を行っています。
※特定地域づくり事業とは、マルチワーカー(季節毎の労働需要等に応じて複数の事業者の事業に従事)に係る労働者派遣事業等を言います。

鳥取、島根から、星野大輔さんと太田章彦さんにご来島いただき、次年度佐渡市として立ち上げを予定している特定地域づくり事業協同組合の先進事例としての発表と意見交換という大変充実した内容でした。

UIターンでご来島される初期段階として、お試し住宅に住みながらお試し就業していただいて、ご自身の好きな地域や職種を見極めていただくことで、佐渡で楽しく暮らす方々が増えて良いと思います。次年度立ち上がる佐渡の組合に所属して1~2年程度で、本格的な就職や場合によっては起業したりして、佐渡で羽ばたいてもらえることを切に願います◎

貴重な機会を本当にありがとうございました!

下記備忘録メモ
※お二方にご許諾いただき下記掲載させていただきます。

▼佐渡市地域振興部移住交流推進課
全国で60くらいの特定地域づくり事業協同組合が立ち上がっている。
海士町、智頭町という先進地域。

佐渡では年間1,000人の人口減少が続いている。
自然減800人+社会減200人

令和3年4月から移住交流推進課
①起業成功率ナンバーワンの島づくりを目指して
②人口減少対策社会減ゼロを目指して

佐渡では、年間500人超のUIターン者が2年連続
まずはお試し移住の推進、公営住宅や教員住宅などを利活用して10棟をお試し住宅として運用。(最長6か月未満の滞在)
62世帯86名の方が利用、33世帯49名が移住へとつながっている。

人材創出社会へ、佐渡暮らしサポーター(ボランティア)による移住者の定着化に向けた体制づくりを行っている。

住むところと働くところをセットにする必要性を認識している。
【目標数値】
年間600名のUIターン
若者移住率60%
定住率80%

そこで、特定地域づくり事業協同組合制度を活用したお試し就業を進めていくことを予定している。
海士町、智頭町の成功事例を参考にしながら、佐渡市としても若者等の移住定住推進に向けて進めて行きたい。

▼海士町複業協同組合事務局・地域力創造アドバイザー太田章彦さん
海士町は人口2,000人
高齢化率41.1%

仕事がない⇒若年層の流出⇒後継者不足⇒産業の衰退という海士町の負のスパイラルであった。

第一次産業は繁忙期と閑散期の差が大きいので、通年雇用が難しい。
一次二次三次産業の繁忙期をつなぐような働き方。
例えば、
春:いわがき漁師
夏:ホテルマン
秋:イカの加工
冬:酒蔵で働く
という働き方を23歳の時に自身が海士町へ移住して、働きながらカメラマンとしても写真を撮影することができた。
特定派遣業を活用して繁忙期に合わせて職場を変える働き方に魅力を感じたが、年中繁忙期となっていることに気づいた。
良い面としては、どこにいっても島の上司がいる存在になっていく。ただし、一定のコミュニケーション能力が必要であると感じている。

負のスパイラルを正のスパイラルに
特定労働者派遣の廃止により、マルチワーカーができなくなってしまった。
そこで、特定地域づくり事業協同組合制度は議員立法によりできたもので、設立にあたり、海士町で本当に必要か議論した。

発起人の確保方法は町から直接事業者に打診した。
決して一枚岩では始まっていないということがポイント。

町内の全事業者を対象。
12⇒13⇒20事業者と微増している。
全て加わっても30事業者くらいが上限となると思う。

マルチワーカーが働きたいと思うような事業所へ行けるように努力した。働く人が働きたい企業を選んで日ごとのシフトを組んでいる。
現在7名のマルチワーカーが働いているが、既に退職が4人。うち2人がそこに転職。2人は本土へ。
離職率36.36%平均年齢29歳
徐々に年齢層を幅広くしていくようにしようとしている。

引き抜きや退職については人材派遣業なので尽きない。
挑戦(退職)を決めた職員を快く見送ることを大切にしているし、出戻りも歓迎している。
「是非、引き抜いてください。」というスタンス。

平均利用料金1,326円
平均時給1,143円
平均従事日数334日

都市部からの人材確保のため、時給は高めに設定している。
地域内での雇用は行っていないがUターンは進めたい。

【課題】
人が集まらない。
組合員数20、13業種に対して派遣職員7名という状況で人材が不足している。
家が不足している。シェアハウスになんとか入居してもらっている。単身住宅はいっぱいで空きがない。
海士町には不動産屋がないので、町営住宅に入居してもらうことが多い。

7名の派遣は7社に行っている。
観光業と水産業がメイン

2名のうち1人が漁師、1人が観光業。
組合に所属してから1年以内に転職。

職員は固定給ではなく、働いた分だけしかもらえない仕組みで運用している。
派遣が実現していない事業者には、職員に選ばれる努力をしてほしいと伝えている。
ホテルの料理人になりたい人が、冬の漁師体験により、魚や漁師さんへのリスペクトが生まれる。

▼智頭町複業協同組合事務局星野大輔さん

佐渡は10回目くらいの来島
全国65、近年中に100を超えるだろうと推測している。
2021年に鳥取県2例目として設立された。

地域の人事部・ホールディングス機能を担う。
もともと林業で儲かっていた地域。
「株式会社智頭」というイメージで、町を一つの会社と見立てて経営している。

マルチワーカーは運用は大変だが、求めている人もいる。
林業+αをマルチに働くをテーマに独自の採用需要と制度設計を実施している。
マルチフォレスター+マルチワーカー(飲食店や観光協会など)

何のために組合をやるのか。
これから100を超える組合が全国で立ち上がると想定されるため、地域の人事部として、あたらしい働き方を創り、林業を変え、暮らしを前に進める。

「半林半X(はんりんはんエックス)」という働き方を提案している。
全国で年間5万人しか林業の新規就業者はいない。

事務局を外部化し、リモートで関わる外部副業人材により転職なき移住を推進している。
運営コストの抑制効果も生みつつ、チームを組んで活動。
13の事業者、働き手は狭き門に40名の応募に対して社員5名のみの採用、採用ブランド(信用)につながる。

人材獲得には、賛否両論あるが、手のかかる選考方法を行っている。
中山間地域は人をどう大切にするのかということが重要。
獲得競争は始まっている。

地域内エコシステムの再構築が必要
人口6,500人
今60人の林業家
93%が森。

自伐型林業の業者と組んでいる。
森林組合との連携も行っている。
移住定住促進サイトスマウトで2名が移住している。

出資金を10万円に設定。
派遣事業を行うために財産的基礎が必要。
概ね3か月分の給料が必要。
町からの寄付などにより運営しており、賦課金(会費的なもの)はまだ取っていない。

【課題】
雨の日と冬季の仕事づくり
特定地域づくり事業協同組合は地域事業者の中間支援的な存在としての運用

▼対話
もしも佐渡で特定地域づくり事業協同組合が発足すれば、全国最大規模のものになるはず。
事務局の設立や人材のスカウティング体制の構築が重要である。

設立時の苦労話として、組合制度を理解するのに頭を使った。
発起人の5社が業種が異なり、どういう人材を呼べるのか?強みは何なのか?を考える。
1年間でどういう働き方があり得るのかを書き出す作業を大切にした。

金額の合意がなかったり、ニーズの少ない職種
どうやって持続可能な経営をしていけるのか?
独自財源の独自事業は難しいので、派遣による収益を取るしかない。
派遣ニーズがない。1年間ほぼ凍結していた。

行政の役割と自走してからどうなったか?
立ち上げは行政主体。組合員の選定も役場。
無理のない制度、働き方。
研修という形で行政も事務局に関わっている。今役場が抜けたら成り立たない。

発起人の選定など行政が関わり、数年の時間を必要とする。
今は運用に智頭町役場は関わっていないが、組合側から政策提言を行い、スピーディーに対応してもらっている。

先行したメリットは?佐渡市としてもこれからやるにして長いスパンで。
補助金が関わり、10年、20年先はどうなっているのか?
呼ぶ人が本当に満足していただけるのか?
10年間の時限立法のため、今後の見通しが不明瞭である。

事務局が肝だと思う。
パーソルに所属している頃は、4万人の社員研修を智頭町で行っており、そのコーディネートをしていたことが移住のきっかけとなった。

事務局の機能を分析する必要がある。
①働き手の確保
②事業者と人材の調整
③移住者の受け入れ機能
などなど。

天候による職種の場合は、事業者との調整は難しい。
従業員への説明にコストがかかる。
自社のグループ会社として位置づけ、人事機能をアウトソースする。
時給を低くしたいという事業者が多いので、組合ということを認識してもらう。
佐渡は広いし、人口も多いので、チャレンジングな地域。
地域を絞るや職種を絞るという選択も必要だろう。
どこでどなたと始めるかは相談が必要だと思う。

事務局はどれくらい忙しいのか?
他のことができないくらいではない。
調整は事業者と仲が良ければ、時間はかからない。
求人はスマウトなどWEBで行うので、そこも事務局が運営している。
1人の事務局で8人くらいの調整が必要。
もしも佐渡市で20人雇用をすれば事務局は2人必要だと思う。
経理・採用・車両・SNSなど様々な業務がある。
毎日細やかにやるのであればとても大変。
財務の資金繰りも含めた意思決定や行政との連絡は大変。

【アドバイス】
佐渡市だったこんな組合が良いのでは?
海士町はまちの目指すビジョンに寄り添いたい。
移住者のためにプレハブも作っている。古い家の水回りを改修したり。
年間20人くらいのキャパが増えている。
佐渡もビジョンを反映する組合ができて、ビジョンに共鳴する職員が集まってくることが理想。

佐渡は日本で一番難しい組合になるが、上手く行ったらすごいことだと思うので、是非チャレンジしてもらいたい。
経営戦略、募集戦略はどこから始めていくかは肝だと思う。
特定地域づくり事業協同組合制度は全国であるので、今後どう差別化していくかが重要だと思う。
例えば、佐渡で起業家を集めているのであれば、そこで働く人を集めるのはありだと思う。
週4日は林業、1日はカフェなど智頭町のルーティンとなっているが、、佐渡らしい組合が必要だと思う。
IT人材の地方採用にも可能性がある。

以上です。