佐渡市社会福祉協議会主催、「会いたい人に会いたいときに出かけたいときに行きたいところへ」オンラインセミナー@両津ささえあい広場に参加させていただきました◎
参加セミナー概要
佐渡市社会福祉協議会主催のオンラインセミナー「会いたい人に会いたいときに出かけたいときに行きたいところへ」に参加しました。両津ささえあい広場を拠点に島内7〜8会場をオンラインで結び、佐渡のように広い地域での開催方法を実感する構成でした。
本年6月に続き、長野県小谷村で「わり~じゃね乗合倶楽部」を運営する野﨑由紀子代表をお迎えし、ご講演を拝聴しました。皇后さまと外務省の同期入省という経歴を持ち、30年にわたる海外勤務を経て、人口2,500人の小谷村に移住された方です。
講演者プロフィール
- 名前 :野﨑由紀子
- 所属 :わり~じゃね乗合倶楽部代表(長野県小谷村)
- 経歴 :皇后さま外務省同期入省/30年間の海外勤務/小谷村へ移住
- 活動開始:地域の高齢者や交通弱者の移動支援
野﨑代表から学んだ地域移動支援のポイント
- 情報はインターネットより噂話が早い 地域内の情報共有速度が非常に速く、背後に強い信頼関係がある。
- わり~じゃねの精神 「ごめんなさい+ありがとう」を意味する方言を掲げることで、利用者と運転手の間に温かい空気を生む。
- 高齢者女子会の実践 冬場に72~92歳のメンバーで7時間にわたる女子会を開催。深夜まで交流を続ける。
- 観光客を乗せない住民サービス 隣接する白馬村とは異なり、あくまで地域住民向けのサービスとし、助け合いの目的を明確に区別。
- 時間を我慢しない 「待つ」「我慢する」時間こそが人生で最ももったいない。移動手段を確保することで活動範囲を広げる。
- 考え方の変化は無料 お金をかけずに、自分の意識を変えるだけでサービス利用へのハードルを下げられる。
- 飲酒後の帰宅手段としても活用可能 普段は運転免許を持つ方も、飲酒後の帰宅方法として利用者の受け入れが広がっている。
- 少子高齢化とコミュニティ再構築 日本の人口は30年以内に1億人を切る見込み。変化する社会に対応できるご近所づくりが喫緊の課題。
- ダーウィンの進化論に学ぶ 「変化に適応できる者が生き残る」ことから、柔軟な移動支援サービスの必要性を説く。
- 90歳の自分視点で考える 将来自分も利用者となる可能性をイメージしながら、サービスの在り方を検討することが大切。
法規制と運営上の留意点
- ボランティアであること 運転手から料金を請求すると「白タク」扱いとなるが、利用者から「お気持ち入れ」として自発的に謝礼を受け取る仕組みを導入。
- 有効な運転免許証と自賠責保険加入 同乗者にも保険が適用されるよう手続きを整備。同居家族以外でも問題なく保険が利く。
- 団体登録の留意点 団体化すると規約や責任範囲が増え、行政が関われば個人情報保護の対応が必要となり進行が遅れる可能性がある。
運営実績と課題
- 利用会員数:32名
- 運転手会員数:35名
- 利用頻度 :月1~2回(成約率7〜8割)
- 登録料 :3,000円(マグネットシート、携帯電話利用料などに充当)
課題として、利用者側の遠慮感が根強い点が挙げられるため、4名の班長を中心に個別訪問で利用促進を図っている。
佐渡での応用アイデア
- 「ついで移動」の仕組み化 通勤や買い物時の空席に高齢者や交通弱者が遠慮なく同乗できるモデルを仮称「乗らんかっちゃ」として検討できないか。
- 小規模グループの共存 地域ごとの顔見知り同士でグループを編成し、社協が小単位をつなぐ二段階方式を採用することはどうか。
- 趣味やママ友といった既存コミュニティ活用 同じ趣味や子育てグループで集まることで、情報共有がスムーズに進み、利用者の心理的ハードルを下げることができるのではないか。
質疑応答抜粋
- 利用謝礼の相場はいくらか? ガソリン代×3倍程度。12kmであれば500円前後。電話係が標準額を案内し、阿吽の呼吸でやりとり。
- 最遠事例は? 小谷村〜松本市(約80km)。病院利用者とコンサートに行きたい若手運転手がマッチングし往復。
- 運転手マッチングのコツは? 運転手の都合優先で日程調整。どうしても合わない場合は返信不要とし、柔軟に再設定。次回の依頼は直接やり取りして構わないとのことで、その動きは全体像の把握は不可能。
- 電話係の役割は? 3名体制で受付。事務職2名と野﨑代表が連携し、単位を小さく保つことでマッチングしやすくする。
- 登録料3,000円の使途は? マグネットシート、携帯電話利用料に充当。冷蔵庫に貼ることでなくさない工夫も兼ね、利用者の遠慮を和らげる。
- マッチング件数は? 週1~2回利用。北行き・南行きの二択で誰かしら対応可能。成約率7〜8割。
- グループ規模の最適化は? 顔見知り程度の小規模グループがベスト。白馬村全体での大規模展開は失敗事例あり。
- 遠慮感を和らげるには? 利用者同士の口コミやおしゃべりを促進し、自然な広がりをつくる。
貴重なご講演をありがとうございました。今後、佐渡でも多様な地域移動支援のモデルを生み出し、高齢者や交通弱者が気軽に出かけられるまちづくりを目指したいと思います。




